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皆さん、背負い投げという技をご存じですか?

背負い投げとは柔道の投げ技の一つで、柔道を題材にした漫画では主人公の得意技として描かれることが多い豪快な技です。

現在、オリンピック競技として世界中の人々に親しまれている柔道は、投げ技と固め技から成るスポーツで日本の加納治五郎師範が生み出しました。

日本発祥の伝統的な競技ということもあり、日本人選手の強さと高い技術は世界各国の選手たちから常に目標とされています。

この柔道の魅力は、豪快に投げ技が決まった瞬間とされていますが、決まり技は実に多彩です。

今回は、多くの技の中から背負い投げに的を絞って詳しく解説します。

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背負い投げのやり方の基本

こちらの動画をご覧ください。

背負い投げは、腰に乗せて投げるので腰技のイメージが強いですが、手技に分類されます。

手の使い方がとても重要な技として有名なのです。

では、基本的な背負い投げの手順をみていきましょう。

柔道には右組左組がありますが、今回は 右組でご説明します。

やり方の基本1:持ち方

右手で相手の前襟(釣り手)、左手で相手の右腕の袖(引き手)を持ちます。

釣り手は相手の前襟の鎖骨辺りを抑えるようにします。

実戦では、相手に釣り手を前襟の下の位置に落とされてしまうことがあります。

すると、どんなにタイミングよく背負い投げに入ったとしても、相手を投げるまでに逃げられてしまったり、返し技に遭う可能性が高くなります。

釣り手を下襟に落とされてしまったら、上の位置を持ち直しましょう。

この時、手を放して持ち直しに行くと、逆に相手に技を施されたり更に不利な組手になってしまいます。

上の位置を持ち直したいときは、襟を手で手繰るように徐々にずらして持ち直すことで、自分に有利な組手にします。

自分の得意な組手の形から、背負い投げに入りましょう。

やり方の基本2:相手の懐に入る

釣り手と引き手で相手を前方向に崩しつつ、右足を相手の右足の内側に踏み込みます。

右足が畳に着いたときには、すでに膝が曲がり自分の重心が低い状態を維持します。

この時のつま先の向きは、まっすぐ前に出すよりはやや左方向に向け、体を回転させるために踵が浮いた状態で着地します。

そして、右肘が相手の右脇の下に入るように釣り手を折りたたむようにし、相手の動きを制します。

釣り手である右手は相手の前襟を丸めこむようにすることで、背負い投げの威力が増します。

コツは、右手の小指を中心に手首を内側に曲げ、丸めていくように使うイメージを持つことです。

逆に、釣り手の右の掌が天井を向いていると、相手に力が伝わらず投げることが難しくなります。

また、手首に負担がかかるので怪我にも繋がります。

この時の釣り手の使い方はとても重要とされています。

やり方の基本3:投げる

体を回転させて左足を踏み込み、前方向へ投げます。

投げるときには、膝を伸ばすと同時に引き手と釣り手を前方向に振りかざすようにします。

言葉での説明はとても難しいですが、引き手は相手の体を肘打ちするようにし、目線は引き手を追うイメージで体の軸を斜めに回転させていきます。

相手の重心より低い位置に入り込むことで、より小さな力で自分よりも大きな相手を投げることが可能となります。

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背負い投げのポイントやコツは?

基本的な動作をマスターしたところで、次は相手を投げるためのポイントやコツをご説明します。

柔道では、打ち込みで背負い投げの形を覚え、投げ込みで投げる感覚を身に付け、最後に乱取りで実践形式の練習をします。

乱取りになると、相手は攻撃と防御をしてきますから、相手を投げるどころか技に入ることすら簡単にはいかなくなります。

打ち込み、投げ込みで身に付けた動作は、どのようにしたら実践で生かせるのでしょうか。

ポイントとコツ1:相手の懐に入るスピード

技に入るスピードはとても重要です。

しかし、柔道では相手が存在するので、速く技に入るだけでは相手を投げることはできません。

速く正確に、背負い投げを施すことがとても大切なのです。

また、相手を投げたいという気持ちが強すぎて、相手が崩れる前に技に入ろうとして返し技をくってしまうことがあります。

背負い投げで相手を投げるためには、相手を崩し、速く正確に相手の懐に入ることがポイントとなります。

ポイントとコツ2:タイミング

どんなに強い威力の背負い投げを武器にしていても、タイミングが合わないと相手を投げることはできません。

背負い投げを施すタイミングの基本は、相手が前に崩れた瞬間に技を仕掛けることです。

前に崩れる瞬間はいつだと思いますか?

1つ目は、相手が勝手に前に崩れる瞬間です。

柔道は常に前後左右の動きつつ、試合をしています。

自分はなにもしていなくても、相手が前に足を踏み出す場面が必ずあるはずです。

この瞬間に背負い投げを仕掛けるのです。

しかし、このタイミングの取り方はとても難しいですよね。

なぜなら、相手が前に崩れる瞬間はいつ訪れるか予想がつかないため、反応が遅くなるからです。

また、攻撃は後手になりやすく背負い投げ単体に頼らざるを得なくなります。

そこで2つ目のタイミングの取り方の登場です。

それは、自分の意志で相手を前に崩した瞬間に背負い投げに入る方法です。

自分の意志でタイミングを作るので、背負い投げの準備も万端です。

背負い投げに入るタイミングは、崩しを学ぶと身に付けることができます。

ポイントとコツ3:崩し

技に入るスピード、タイミングのご説明をしたときに、崩しという言葉がでてきました。

一体、崩しとは何でしょう。

崩しは、相手が一歩でも動こうと重心を変化させた瞬間に絶えず起こっています。

崩しの方向は、主に前後左右、右斜め前・左斜め前・右斜め後ろ・左斜め後ろの八方向にあります。

皆さん、目の前にいる人に胸の辺りをポンッと押されると、瞬間的に前に戻ろうとする力が働くはずです。

基本的には、崩したい方向と逆の力を相手に伝えることで、相手が反応し崩しに繋がります。

皆さん、おんぶをしたときのことを思い出してください。

背負い投げはおんぶと似ているのでおんぶを例にすると、まっすぐ立っている人に対し、自分の膝を曲げずに背中に乗せようとすると重くて大変です。

担がれる人が後ろに重心をかけていると、尚更、持ち上げるのに苦労します。

つま先立ちで前傾姿勢になっている人を、自分の膝を曲げて下から持ち上げるようにすると、自分よりも大きな人のことを持ち上げることができます。

崩しとは、より小さな力で大きな相手を投げるためのコツであり、柔よく剛を制すを表しているのです。

ポイントとコツ4:釣り手は命綱

背負い投げを習得するために、まずは打ち込みで形を練習します。

打ち込みでは、引き手を大きく引くように習うので引き手が重要なことは間違いないのですが、ここでは釣り手の使い方のコツをご説明します。

釣り手は相手の体幹により近い位置にあるため、柔道の基本である崩しを行う際に非常に重要な役割を担うことになるのです。

普段、釣り手は相手の動きを制したり相手の動きを感じ取るために、相手の胸元に密着した状態です。

背負い投げで相手を投げるためには、相手の重心を前に崩す必要があるのですが、この釣り手で崩しの大部分を行うことができます。

崩しには引き手が重要視されることが多くありますが、体幹に密着している釣り手の方が相手へ与える影響が大きいのです。

持ち方の説明部分で釣り手の使い方をお話ししましたが、背負い投げを施すときにこの釣り手が相手と密着していては釣り手を上手く使うことができません。

背負い投げに入る瞬間に、相手の体と自分の釣り手の間を拳ひとつ分空けてから、手首の巻く動作に移ると、スムーズに釣り手を畳み込むことができます。

イメージとしては、相手に押し付けていた釣り手の力をフッと抜く感じです。

釣り手は柔道では命綱的存在で、釣り手だけで投げ飛ばすことができる威力を持っているのです。

(見出し3)ポイントとコツ5:連絡技

試合で勝つためには、背負い投げひとつだけ練習していても相手を投げることはできません。

それは、背負い投げを狙っていると相手が気付くと、相手は背負い投げを警戒してくるからです。

そこで、連絡技の登場です。

連絡技とは、いくつかの技を連続して仕掛けることで相手を崩し、最終的に投げに繋げることを言います。

背負い投げと相性がよい連絡技をいくつかご紹介します。

小内刈から背負い投げ

支え釣り込み足から背負い投げ

袖釣り込み腰に入ると見せかけて背負い投げ

技の種類は2つでなくてもよいので、3つ、4つとオリジナルのパターンを練習してみてください。

背負い投げに入ると見せかけて、大内刈り

背負い投げで投げたい気持ちはよく分かりますが、背負い投げをフェイントに使うこともできます。

背負い投げの威力が強いと、相手が背負い投げに対して大きく反応をするので、後ろへの技が決まりやすくなります。

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背負い投げの種類

背負い投げの基本的なやり方やポイント、コツをご説明してきました。

実際に試合を見てみると、背負い投げにはいくつかの種類があるように感じます。

背負い投げには何種類あるのでしょうか。

こちらの動画をご覧ください。

実は、背負い投げの種類としては、双手背負い投げと一本背負い投げの2種類しかないのです。

試合では、不十分な組手複雑な動きの中で技を施すため、種類が多く感じられるのです。

2種類の背負い投げを様々な形に変化させて、相手を投げています。

どのように変形させているのか、いくつか種類があるので細かく見ていきましょう。

双手背負い投げ

一般的に背負い投げと呼ばれている技です。

今回、背負い投げの説明では、この双手背負い投げのやり方をご説明してきました。

両手で相手を持っているので、連絡技から背負い投げに繋げたり、背負い投げから他の技に移行しやすいです。

この双手背負い投げは、その中でもいくつかの種類に分かれています。

入る高さが高いと立ち背負い投げと呼ばれます。

低い位置に入りこむ背負い投げも同じ種類です。

また、両膝を畳に着いた状態や、片膝を畳に着いた状態の背負い投げもありますが、種類は双手背負い投げです。

この両膝を畳に着いた背負い投げは、中学生以下に適用される少年ルールでは反則行為となります。

理由は、勢いよく膝を畳に打ち付けることがあるので、怪我の防止や成長中の体を壊さないためです。

オリンピック3連覇を果たした野村忠宏選手の背負い投げをご覧ください。

とても美しく力強さを感じます。

一本背負い投げ

一本背負い投げは、釣り手は相手の道衣を持たずに、肘の内側で相手の腕をロックして投げる技です。

両手で組まずに技を施せるので、組際の一瞬を突いて投げを仕掛けることができます。

韓国背負い投げ

こちらは、柔道のルールでは反則技と指定されている技の種類です。

誰がやり始めたかは定かではないですが、韓国の選手がやり始めたのではないかとされているので、韓国背負いと呼ばれています。

主に、けんか四つの組手で仕掛けることが多く、右組ならば本来は右肩越しに投げるところを、左側から投げに行く危険な技です。

受け身が取れないどころか、腕の関節が決まってしまい、大きな怪我に繋がりやすいのです。

逆背負い投げ・片襟の一本背負い投げ

この逆背負い投げは、本来は引き手を持って技に入るところを、逆に釣り手は前襟を持ち釣り手を引き手の代わりにして逆回転の一本背負い投げに入る技の種類です。

けんか四つの時にお互いが釣り手同士を持ち合い、引き手の組手争いを行っている一瞬の隙を突いて投げを打つ際に有効です。

注意点は、釣り手を相手の釣り手の下から持って技に入ると、技が決まらなかった際に締め技に移行されやすいところです。

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その他の持ち方

柔道では、相手に釣り手を有利に持たせないために、自分の釣り手を前襟ではなく相手の反対側の引き手を持つことがあります。

けんか四つでは、釣り手同士の組手争いに時間が掛かり試合展開も単調になります。

そこで、相手が釣り手を伸ばしてきたところを、自分が引き手として持ってしまうのです。

お互いに両手を絞り合う組手になりますが、そこで両袖を持ったまま背負い投げに入ることができます。

両袖を決められているので、途中で畳に手を着いたり防御がしにくく、投げが決まりやすくなります。

一般のルールでは可能な技ですが、少年ルールでは反則行為となります。

また、僅かな時間のみ持つことが許されている片襟と片袖を持って背負い投げを施すこともあります。

柔道は常に激しい組手争いをしながら技の攻防をしているので、基本に忠実な背負い投げを仕掛けられない場面が多くあるのです。

基本的な組手からの攻防から、流れを変化させたいときに使うと有効です。

おすすめの書籍等

書籍でしっかり勉強したいという方は、こちらの書籍がおすすめです。

こちらは古賀稔彦さんのDVDです。

映像でしっかり学べるので、こちらもおすすめです。

まとめ

今回は、背負い投げのやり方やポイント、相手を投げるためのコツをご説明しました。

背負い投げの魅力は、自分よりも大きな相手を投げることができるところにあると思います。

背負い投げの習得はとても難しいですが、打ち込みや投げ込みで正しい形を自分の体に覚えさせることが上達への一番の近道だと思います。

日々の稽古やトレーニングはとても苦しいですが、柔道が大好きな気持ちを忘れずに柔の道を歩んでほしいと思います。

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