鶏肉は焼いて食べるのが一番!
シンプルな焼き鳥が好きな方も沢山いらっしゃると思いますが、調理する時の焼き加減の目安は意外とアバウトになってしまいがちです。
前は熱がしっかり通っていたのに、今回は何だか生焼け。
調理のあるあるです。
料理によっては切って確かめられないので焼き加減が分からないこともありますが、いつもこれを言い訳にすることは出来ませんよね。
この記事では調理師免許を持つ私が、鶏肉の焼き加減の目安や時間、確認方法などについて解説していきます。
肉をしっかり加熱することは食中毒の予防にもなりますから、美味しく食べて健康に過ごすためにも確認の方法をマスターしましょう!
Contents
鶏肉の焼き加減
こちらでは鶏肉の焼き加減を紹介します。
定番の唐揚げと照り焼きを焼き時間で取り上げてみました。
焼き時間
肉の焼き時間は材料の切り方、厚さで大きく変わってきます。
「唐揚げ・生」
生の状態から作る一般的な唐揚げ(30g)は揚げ時間が掛かります。
内側までしっかり火を通すには30分ほどを目安にじっくりかけなければ内側まで熱が通りません。
急いで作りたいからといって、火を強くしすぎると外側だけが黒焦げになり、内側に火が通らないことになりますので、160度から180度でじっくり加熱します。
肉の厚さも大切になるだけに唐揚げは焼き加減が難しい料理の一つですね。
「照り焼き」
一般的な厚さ、大きさ(1枚400gのもも肉)で扱われる照り焼きであれば、油を引いたフライパンに皮を下にして5分。
パリッとしてきたところで、裏返して蓋をし、弱火で3分を目安に蒸し焼きにします。
火が通ったら、キッチンペーパーで流れ出した脂分を取り除いてタレを入れて中火で2分絡めます。
火の強さ
外側の温度と内側の温度差はとても大きくなります。
表面が黒焦げでも中は生だったという火加減による調理ミスは多かれ少なかれ経験が有るのではないでしょうか。
唐揚げも低い温度から入れてじっくり熱を通しますし、火加減も中火が多いです。
強火にするのは水分を飛ばして素早く調理が必要な時だけで、肉の内側に火を通すのであれば中火から弱火にして表面の焦げ付きを防ぐようにします。
火加減が弱すぎても今度は肉に熱が通らず、旨味も逃げるので焼き音がする程度には維持しましょう。
切った時に大きさと厚さを均等に揃えると焼きムラになりにくく、焼くときも煮込むときも調理が楽になります。
中の色は多少ピンクでも大丈夫?
肉の焼き加減の目安にするのは必ずしも色だけではありませんが、できれば中心まで白くなった状態が望ましいです。
鶏肉の場合は特にピンク色から白くなりますので視覚的にも分かりやすくなっています。
表面から近い部分ではなく、中心がピンク色のときはまだ火の通りが足りないと考えましょう。
生で食べるには食中毒のリスクもありますので、十分に熱を通して下さい。
表面は?
焼き加減を見るのに表面の状態だけを確認するのは良いとは言えません。
ある程度火が通っていても内側が生のことは多々あります。
水分は火が通っていると透明になります。
塩や砂糖など調味加工をしてある肉の場合は特に焦げ付きやすくなりますので火加減は中火から弱火でじっくり加熱しなければなりせん。
食感の目安は?
ある程度は水分が出てツヤがあり、その上でアツアツの状態であれば美味しく食べられます。
皮目をカリカリに焼いた場合でも、ちょうどいい焼き加減の時には、脂分と水分が程よく残るのでぱさつく状態になることはありません。
ぱさつくほど焼くと食べにくくなることも多いのでその場合は焼き過ぎです。
水分が無くなると肉そのものが固くなってしまうので、その前に火を止めるようにしましょう。
もし火が通っていないのであれば、火加減を弱くして時間をかけて調理するようにすると、表面だけが固くなったり、焦げつくことを少なく出来るので余裕を持った調理を心がけましょう。
蓋をして蒸し焼きにするのも熱の回りが良くなり、焦げ付きを防げます。
火が通っていない時に焦げが気になるときは、器に移して電子レンジで500Wで30秒ほど加熱してみるのも方法の一つです。
ラップをゆるくかけると水分が逃げにくく、蒸し焼きのようになるのでぱさつきも防げます!
硬さの目安は?
普段からプリッとした弾力がある鶏肉ですが、焼くと水分が抜けて熱が通っていくごとに固くなります。
最初の面積よりも縮んでいきますし、串を刺した時には生ではブツッという感触がありますが、火が通るとその感触は無くなり、すんなり串が通りやすくなっていきます。
一番慣れが必要なのが硬さを目安にする方法だと思いますが、切って確認できない時のためにも覚えておくと良い方法です。
生焼けかどうかの確認方法
竹串を刺して抜き、押した時に肉汁が出た時に赤く色がついているようならまだ火の通りが足りないかもしれません。
竹串で確認する場合は5秒ほど刺してから串を抜いて触れた時の温度がお風呂の入浴温度よりも熱いぐらいの温度であれば火が通った目安になります。
鶏肉本体を切っても大丈夫な料理であれば切って直接見て焼き加減を確認するのが一番確実な方法です。
鶏肉は火が通れば白っぽくなります。
血が通った部分などは少しピンクに残っていることもありますが、目安は鶏肉の中心温度が白くなっていれば問題有りません。
鶏肉に多い食中毒とは?
カンピロバクターが鶏肉では多い食中毒の原因です。
国産の鶏の生肉の6割、輸入の冷凍の鶏肉の4割からカンピロバクターが検出されるということから加熱して食べないとカンピロバクターの食中毒のリスクが非常に高いことが分かります。
他にも鶏肉の表面にはサルモネラ菌も付着している場合があり、こちらにも注意が必要です。
カンピロバクターの死滅温度は65度ですが、サルモネラ菌の場合は更に温度が高く75度まで上げる必要があると考えましょう。
販売される鶏肉の殆どは加熱調理が前提になっていますので、生で食べるのは避けてくださいね!
調理方法による違いはある?
それでは、同じ鶏肉を焼くことでも方法によってどんな加減になるのかの目安を確認していきたいと思います。
フライパン
鶏肉を加熱するには、出来る限り常温で行うのが望ましいです。
同じ10分の加熱でも、カチコチに凍った冷凍肉と常温の肉では全く火の通り方が全く違います。
調理の時間を短縮することだけでなく火の通りを確実にするためにも冷たいものは常温に戻してから料理するのを心がけましょう。
この記事の中でも扱った照り焼きのレシピの場合は
- 皮目5分
- 裏側弱火3分
- 仕上げ2分
と、常温のもも肉を10分で焼き上げています。
グリル
「カンピロバクターの死滅に必要な時間」
- 鶏挽肉の肉団子25g…沸騰したお湯で5分加熱
- 一般的な焼き鳥…ガス台で直火7分、炭火焼き12分
- バーベキュー用の調理台で肉の中心温度が65度に到達したのは16分
調理器の内部は高温になりますが、肉の内部までに火が通るのにはかなり時間が掛かることが分かります。
低温調理
低温調理法の場合は、火にかけるよりもジューシーに食べることが出来ますが、より安全に食べることを考えた場合は60度で10分以上加熱するのがコツです。
パック販売の牛乳などでも使われている低温殺菌は、材料の食感や風味を損ないにくく、美味しく食べられることで人気があります。
電気ポット、炊飯ジャーなどの中など沸騰しない程度の温度を維持できる湯の中に耐熱パックに入った食品を入れておくだけの簡単さも魅力です。
フライパンやグリル調理と違って、低い温度でも食品全体を温度差が無く均一に加熱出来るため食中毒が気になる季節の食品の殺菌にもぴったりです。
一流のシェフも用いている方法として注目されています。
今回は鶏肉に関しての話題を扱っていますが、生で食べるのが特にリスクが高い豚肉は75度が推奨されます。
サルモネラ菌への対応を考えた場合は鶏肉でも75度で加熱するのが良いでしょう。
鶏肉にも食中毒のリスクはありますので時間をかけておくと安心です。
・砂肝の焼き加減の目安は?フライパンで焼く場合は中が赤いとダメ?
結び
今回は鶏肉の焼き加減の目安を、色と時間、視覚的に確認する方法を紹介してきました。
普段鶏肉を調理している時に心がけていることも多いのですが、実際に鶏肉について調べ物をして確認する良い機会にもなりました。
鶏肉を、熱湯にくぐらせて半生の状態で刺し身のように食べる料理があるのですがその料理は肉の扱いと調理に専門の知識を持っている人でなければとてもリスクが高いものです。
カンピロバクターの食中毒はギラン・バレー症候群という恐ろしい後遺症をもたらします。
鶏肉は美味しい食べ物ですが、安易な気持ちで生で食べないことが大切です。
鶏肉の火加減は焦がしすぎないように中火をメイン、弱火でじっくり中心まで加熱を心がけましょう!